こんにちは、マイベストのエンジニアの鈴木です。
先日、東京マラソン2021のエントリーが始まったので勢いでエントリーしてみました。
桜も満開で気持ちいい季節になったので、早速今週末から走り始めたいと思います!
さて、マイベストのプロダクト開発部は前回の記事でも紹介のあった通り、ミッションという単位でチームが分かれています。
今回は、私の所属する「Operation Experience(OPEX)チーム」が実施したオペレーション
改善の進め方についてご紹介したいと思います。
以下の流れでご紹介していきます。
- マイベストにおけるオペレーションとは
- OPEXチームの紹介
- 理想のオペレーションを見つける
- チームが大事にしていること
- 今後の展望
マイベストにおけるオペレーションとは
マイベストでは、徹底した自社検証と専門家の声をもとに、ユーザーの“選ぶ”をお手伝いするおすすめ情報サービス『mybest』を運営しています。
そのメインコンテンツとして、全ての商品を実際に購入し、自社で比較検証を行う比較検証記事があります。
この比較検証記事は1記事公開するのに3ヵ月もの期間を要するため、現在のマイベストにおけるオペレーションは、大部分がこの比較検証記事の制作になっています。
記事制作の流れ
比較検証記事を制作する流れは大きく企画・検証・執筆に分けられ、それぞれ次のような業務を行っています。
- 企画:市場調査、ターゲット設定、商品選定、企画書作成、企画会議
- 検証:商品購入、モニター募集、専門家の調整、検証、商品撮影
- 執筆:商品情報・検証データ登録、執筆、校正、公開
以下の記事で密着取材していますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
このようにマイベストのライターは記事を執筆するだけでなく、とても多くの業務を行っています。
そして、このオペレーションを改善することができれば、記事制作の中でもコンテンツの質を高める本質的な部分により時間を使うことができ、さらに良い記事制作ができるようになります。
本記事の後半では、この記事制作フローをどのように改善していくかについてご紹介します。
OPEXチームの紹介
OPEXチームはオペレーション体験の向上を目的として、半年ほど前にプロダクト開発部内に作られました。
現在、以下の4名のメンバーがいます。
- PdM:1名(ライター経験あり)
- デザイナー:1名
- エンジニア:2名
『クオリティの高いコンテンツを効率よく作成できるオペレーションを構築すること』をミッションに、社内の50名を超えるライターを含む200名以上が毎日使う管理画面の改善やオペレーションの構築を行っています。
そして、長期的にはオペレーショナル・エクセレンスの実現を目指しています。
オペレーショナル・エクセレンスとは
オペレーショナル・エクセレンスとは、業務改善プロセスが現場に定着し、業務オペレーションが磨きあげられ、競争上の優位性にまで高められている状態のことを言います。
オペレーショナル・エクセレンスを確立した企業では、常により良い業務オペレーションを追求しようという考え方が現場の末端まで浸透し、継続的なオペレーションの進化を可能にする仕組みができています。
これは他社が模倣することが困難なため、持続力の高い優位性となります。
マイベストはオペレーションに強みを持っているので、この強みをさらに磨き上げ、オペレーショナル・エクセレンスの実現を目指していきたいと考えています。
理想のオペレーションを見つける
ここからは実際にOPEXチームで実施したオペレーション改善の進め方についてご紹介したいと思います。
理想のオペレーションを見つけるために、以下の順で進めていきました。
1. 現状を可視化する
まず、記事制作に関わるチームのメンバーにどの作業にどれくらい時間がかかっているかを記録してもらい、現状の可視化を行いました。
2. 課題を特定する
1の結果を元に記事制作のフローに所要時間を書き入れていき、ボトルネックを特定しました。
オペレーションを改善する時は局所最適にならないよう全体のフローを考えることが大切です。
また、ライターへのアンケートや各チームのマネージャーへのヒアリングを実施し、課題を洗い出しました。
3. 理想を考える
現状のボトルネックや課題がわかったところで、それらを元に理想のオペレーションについて考えました。
理想のフローを考えるにあたり、製造業の業務改善で使われるECRSというフレームワークを用いました。
ECRSとは、以下の『E→C→R→S』の順に改善内容を検討・実施することで、効果的に業務改善を実践することができるというものです。
このECRSの順にフローの見直しを行い、理想のオペレーションフローを定義しました。
詳細はお見せできないのですが、先程のフローと比べてシンプルで全体の長さも短くなったことがわかるかと思います。
4. 解決策を出す
続いて、理想と現状のギャップを埋めるための解決策を出していきました。
3を考える際にある程度は解決策もセットで出てきますが、それを具体的な施策のレベルに落とし込むためにチーム内でブレストを行いました。
5. 優先度を決める
最後に、4で出た施策に対して削減時間、開発工数を元に優先度を決めました。
基本的にはインパクト(削減時間)が大きく、開発工数の低いものから順に行うのですが、その際に削減時間だけでなく、質の向上やリスク削減に繋がるものに関しては優先度に重み付けを行いました。
優先度を決める際にインパクトに目が行きがちですが、オペミス等のリスク削減の観点を加味することで、組織にとってより適切な優先順位を付けることができます。
これで理想のオペレーションに向けてスタートを切る準備ができました!
現在の状況
現在は、優先度の高い順に改善施策を実施し、効果計測→改善のループを回し始めています。
定期的にライターに実施しているアンケートでも徐々に満足度が向上してきました!
理想のオペレーションは一度決めて終わりというものではないので、会社の戦略や組織の状況、施策の効果などを見ながら今後も継続して考えていきたいと思います。
OPEXチームが大事にしていること
さて、ここまでオペレーション改善の進め方について見てきましたが、ここでOPEXチームが大事にしていることについてもご紹介したいと思います。
① 現場を知る
まず何よりも現場を知るということを大切にしています。
現場の解像度が低いと独りよがりの的外れな改善になってしまいます。
そのため、現場を知り、実際に体験し、解像度を上げることが何よりも重要です。
OPEXチームのデザイナー・エンジニアはライター経験がないので、実際に検証に参加したり、ライターにヒアリングしたり、執筆の様子を観察させてもらったりして、現場の解像度を上げるよう努めています。
先日はデザイナーと一緒に除毛クリームの検証に参加して、すね毛がほぼなくなりましたw
② 課題の本質を捉える
求められたものをただ作るのではなく、本質的なニーズやペインを捉えて解決するようにしています。
自動車を普及させたヘンリー・フォードの有名な次の言葉があります。
もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、
彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。
この言葉が示す通り、人は目の前にないものは想像できません。
社内にライターがいるのでいつでもヒアリングやインタビューを行える恵まれた環境ではあるのですが、その際に挙がってくる「◯◯の機能が欲しい」、「◯◯に時間がかかっている」といった要望や行動の裏側にある真の課題を深堀りし、それを解決するよう心がけています。
③ 文化を創る
これはまだ試行錯誤中ではあるのですが、『ユーザーファーストで、常に改善し続ける組織文化』を創っていきたいと考えています。
オペレーショナル・エクセレンスを実現するためにはただ業務を改善すればいいわけではありません。
常により良いオペレーションを追求しようという考え方が全員に浸透し、継続的なオペレーションの進化を続ける必要があります。
現在は、Slackに意見箱のチャンネルを作ってライターがいつでも気軽に意見を言えるようにしたり、実施した施策のダイジェストを共有して改善の効果を実感してもらったり、定期的なアンケートを実施したりすることで、ライターに改善を身近に感じてもらって誰もが改善に加われるような仕組み作りをしています。
「ユーザーのために昨日より少しでも良くできることはないか?」という問いを全員が持ち、実践することができれば、近い将来オペレーショナル・エクセレンスが実現できると信じています。
今後の展望
これまでは工数が小さくインパクトの大きい施策から順に実施してきたので、既存の社内管理画面を中心に改善を進めてきました。
今後は関係する部署とより連携を取って、現在は管理画面化されていない部分の大きなオペレーション改善にも取り組んで行く予定です。
そして、このオペレーション改善を継続していくことで、ライターが質の高いコンテンツを作るための本質的な作業に時間を割けるようにし、mybestでの選択体験をより良いものにしていきます!
また、国内で「これだ!」というオペレーションを実現させたら、現在サービス展開している海外10ヵ国にもそのオペレーションを展開していきたいと考えています。
最後に
トヨタのトヨタ生産方式に代表されるように日本にとってオペレーションは大きな強みの一つです。
GAFAM(Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)に対してテクノロジーの力だけで太刀打ちするのは難しいですが、テクノロジーと日本の得意なオペレーションの力をかけ合わせることで、GAFAMのような規模のサービス・プロダクトを日本から生み出すことも夢ではないと思います。
今はオペレーションというとトヨタやマクドナルドが例に挙げられますが、5年後にはここにマイベストも加わるようなオペレーショナル・エクセレンスを実現し、mybestを世界中の人々に使っていただけるサービスにしていきたいです!
OPEXチームの挑戦はまだ始まったばかりです。
もしこの記事を読んでマイベストに興味をもっていただけたらぜひ話を聞きに来てください!